2008年01月18日

#26 Sampling Love

Hip Hopという音楽を追っていると、あるムーブメントを象徴するようなキーワードや関連するスラングが毎年のように産まれる(と同時に死語になる言葉もまた存在する)ことが興味深かったりするわけですが、何もそれはHip Hopに限ったことではありません。

そう、我々が常日頃用いる日本語においてもまた然り。

「ニート」「メタボリック症候群」「メル友」「いけ面」「癒し系」――10年前には存在もしなかった言葉や一部のジャンルの中だけで通じていたはずの"スラング"が、今では立派に市民権を得て、ちゃんと辞書に収録されちゃうんですから面白いもんです。

広辞苑.JPG

ニュース等で話題になっていたのでご存知の方も多いでしょうが、去る1月11日、国語辞典と百科事典を兼ね備えた辞書界のDJ Premier a.k.a. 「広辞苑」の第六版が発売されました。1998年の第五版から10年。約1万語を新たに収録し、収録項目は約24万。

先日、UNIQLOのTシャツ専門ラインであるUT@原宿で、「広辞苑」とデザインされたコラボTシャツが販売されているのを見た時は流石に「ぬおっ……」となりましたが、これだけインターネットや電子辞書の浸透が進んだ昨今にあっても、去年末の時点で既に30万部を超える注文があった、なんて報道を目にすると、「あぁ、やっぱり『広辞苑』の影響力ってすげぇなぁ」……と誤字脱字の多い当blogを書いているボクは思うのです。



あ。いきなりですが、「広辞苑」が誕生して以来、そこに未だに載ってない言葉があるんですが、それが何だか分かります?

答えは……「広辞苑」。

シュールだ。



さて、そんな「広辞苑」も日本人としては必携の書でありますが、HipでHopな紳士淑女の皆様におかれましては、本家の発売日から1週間後に発売されたこちらの"広辞苑"こそが買い逃し厳禁であります。



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「THE SAMPLING DICTIONARY 2008」

定番のヒップホップ・クラシックはもちりん、Kanye WestやJ.Dillaといった今最も旬なアーティストからアングラ、マイナーミドルものまでネタというネタを網羅!再熱するサンプリングカルチャーを背景に史上最多17000タイトルのサンプリング辞書が新登場!

……と、帯にある文章をそのままSamplingさせてもらいましたが、もうね、書名が全てを物語ってますね。

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Samplingネタのデータベース本としては、かれこれ4〜5年前になるかと思いますが、名古屋にあるDOWN STAIREというレコード屋さんがディストリビューターとなって日本にも流通した↑の「Sampling Love」「Re:Sampling Love」が有名ですが、それらを第一版とするならば、こちらはさながら第二版の装い。本を作る工程から逆算したら、よくぞJay-Z"Roc Boys"辺りまで収録したなぁ、と感心します。

もちろん、実際のレコードの盤面やCDのブックレット等から元ネタを調べることは出来ますが、Promo盤Onlyの曲や、クレジットが判然としない曲にも言及しているので、めちゃくちゃ助かります。

全241ページで2490円(税込み)。「広辞苑」は持ち歩けませんが、これは鞄に常備で宜しくお願いします。



いやぁ、しかし、素敵な言葉ですよね、Samplingって。



ボクは自称・重度のSampling Loverなんで、国民的アイドルのSmapでさえもSamplingの短縮形に見えてしまう程なのですが、曲に関してのみならず、ジャケットのアートワークにおいて発揮されるSamplingの概念にも興奮を覚えちゃいます。

最近で言えば、9th Wonder脱退後の新生Little Brother(なのに、9th WonderがPro.した曲も含む)「Getback」のジャケは素敵でしたね。

littlebrother.JPG

どうせなら、「Get Business」ぐらいの自虐的な意味を含む茶目っ気も欲しかったけど……。

EPMD.JPG



このような<Hip Hop → Hip Hop>のジャケSamplingは時々見受けられますし(Mix Tapeのジャケにその傾向が強いか?)、<非Hip Hop → Hip Hop>のジャケSamplingも色々とあります。パッと思いつく有名所では、例えば……

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Marvin Gaye / 「I Want You」 → Camp Lo / 「Uptown Saturday Night」



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Bobby Womack / 「Across 110th Street」 → Buddha Brand / "人間発電所(Classic Mix)"



とかとか。

個人的には、Beatnutsのあのマークの元ネタになったHank Mobley「The Turnaround!」はかなり好きです。

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……とSampling話を徒然なるままに書いてきましたが、先日、この<非Hip Hop → Hip Hop>の真逆を行く<Hip Hop → 非Hip Hop>なジャケに偶然にも出会ってしまったのでご報告しなくてはなりません。

それがこれ。




Diecluipz.JPG
Die & Clipz feat. Jenna G. / "Work It Out"



もちろん、お分かりですね?



dela.JPG

そう、De La Soulの傑作「3 Feet High And Rising」まんまです。

Hip Hop/R&B以外のアナログをそこまで買ってないボクには、この手の<Hip Hop → 非Hip Hop>な、Hip Hopサイドから考えたときの逆Sampling手法ジャケがどの程度存在するものなのかイマイチ分かりませんが、なかなか珍しいんじゃないかと(書いてて、Bob Sinclar"Rock This Party"の仏盤がRun-D.M.C."My Addidas"を、また、UK盤が「Wild Style」をSamplingしたジャケだったのを思い出した)

……ん?Die & Clipz?……Cool & Dreなら分かるけど、誰?

……ん?feat.のJenna Gって、5年ぐらい前に”Fallin'”ってSingleを出したUn-CutってUK発の3人組のVo.の子か?……か、顔なんか覚えてない。

と、自分が無知であるジャンルのレコードを買うのは勇気がいりますが、そこはHip Hop的に。「Jazz/クロスオーヴァー」のコーナーで発見したけど、当然の如くジャケ買い決定。

大体さ、知っているレコードだけを買っていくのは"掘る"とは言わないんだよ。それはね、"抜く"って言うんだよ。クリック一つで高い金出してコレクションするのもいいけどさ、やっぱり、男は"抜く"よりも、"掘る"べきじゃね?そう、それは正しく、自分の右手で抜くよりも、女の子を掘……(以下略



さ、何はともあれ針を落としてみましょう……ほほぉ、なんとも浮遊感のあるIntro……って、Drum'n'Bassかよ!(後で調べて分かったことですが、このDie & Clipzなる方々はDrum'n'Bass 界の重鎮のよーで)

Drum'n'Bassのレコードなんて壊滅的に持ってねぇーよ!これじゃ無駄な出費じゃねーか!

いや。

先日放送されたNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、小野二郎さん(ミシュランガイド・東京版にて三ツ星を獲得した寿司屋「すきやばし次郎」の店主・82歳)も仰っていたじゃないか。

「無駄が極上を生む」

と。

小野次郎さんの発言の真意とはかけ離れているのを承知しながら、この"無駄"で"極上"を生むために、とりあえず、持っているDe Laグッズの側に置いてみました。









delagoods.JPG

ほら、無駄じゃない。



なお、こんな時間にこんな写真を撮っていることが何よりの時間の無駄だというツッコミは無しで宜しくお願いします。


posted by 32 at 03:46 | Comment(6) | TrackBack(0) | コラム




この記事へのコメント
THE SAMPLING DICTIONARY出ましたね!すぐなくなりそうで怖いです。。
ジャケのサンプリングも発見したとき面白いですよね!
これもDe La Soulです。
http://www.bitterdarts.com/shouhin/MixCD/img/DJ-CASIN.jpg
Posted by SHOTO at 2008年01月18日 10:43
SHOTOさん>
今日、レコード屋の店員さんから「すごい勢いで売れてます。ちゃんと買いました?」と心配のメールがきたぐらいなので、どうも、かなり反響があるようですね、この本は。絶対に後悔しないように早めのゲットを……。

De Laジャケのネタ提供も、ありがとうございます!ナイスなジャケですね!
Posted by 32 at 2008年01月18日 23:54
最後は爆笑させていただきました。
中身だけでなくジャケもSAMPLINGで受け継がれていくのはいろいろと興味深いですね。
抜くのではなく掘る…グッときました。
Posted by スメール at 2008年01月19日 16:11
スメールさん>
他にも色々とあると思うので、ジャケも注目してください。

曲やAlbumは、その音だけでなく、ジャケも含めてで一つの作品として完成し、そこに意図があるのですから。。。
Posted by 32 at 2008年01月20日 12:12
はじめての書き込み失礼致します。
某オンラインショップレコード店を運営しております。

このサンプリング辞書かなりの勢いでホント売れてますよ。別に宣伝する気ではなく中身もかなり便利なので思わず書き込みを・・・。

うちじゃなくてもどこの店舗さんでも早くゲットした方がいいかと。

ちなみにサンプリングラブの前に、DOWN STAIREさんがちょいと薄めのサンプリング本を実はその結構前に出してましたね。こちらはあまり世間には広がってないのでしょうか?

あと、マンハッタンさんでこれもだいぶ前ですが、今回のものよりも小さいものが昔の2F(入り口付近にレジがあったとき)にレジ下のガラスのショーケース内に確か出てましたね。こちらは残念ながらもってないのですが・・・。

あと、時期的にこちらともう一冊サンプリング本が出ます。もう出てるかな?

こちらは当店では入れてなく、個人的にはこっちの『THE SAMPLING DICTIONARY 2008』勝ちだと思います!

なので、自分の店名は控えさせて頂きます。

突然の書き込み失礼致しました。

皆さんのディグに少しでもお役に立てれば幸いです。
Posted by サンプリング辞書最高! at 2008年01月20日 23:48
サンプリング辞書最高!さん>
実際にオンラインショップレコード店を運営されている方から、このように熱い書き込みを頂戴し、嬉しく思います。ありがとうございます!

「Sampling Love」以前に出たという本は、存在は知っているのですが、個人的には所有してません&現物を見たことないんですよね。。。(ヤフオクで見たことはあるんですが)

それ以外にも、随分とその手の本が存在してるんですね。自分の不勉強に恥じ入るばかりです。

さっそく、Digってみたいと思います!貴重な情報、ありがとうございました!!
Posted by 32 at 2008年01月22日 00:42
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